この記事でわかること
  • 「かたいものが食べにくい」「むせる」など、口のささいな衰え(オーラルフレイル)の意味
  • 食べこぼしやわずかなむせ、滑舌の低下など、気づきたいサイン
  • 歯みがきなどの清掃と口の体操を組み合わせた毎日のケア、歯科の活用のしかた

オーラルフレイルとは

「オーラルフレイル」とは、「かたいものが食べにくい」「食事中にむせる」「口が乾く」といった、口の機能のささいな衰えのことをいいます。ひとつひとつは小さな変化でも、「年のせい」と放置していると、少しずつ進んでしまうことがあるとされています。

口の働きが弱まると食べられるものがかたよりやすく、低栄養や、心身の活力が落ちるフレイル、さらには要介護のリスクを高めることが報告されているとされています。裏を返せば、口の変化は老化のサインとして早めに気づける指標とも言われています。小さなうちに気づいて対応することが、元気を保つ第一歩と考えられています。

気づきたいサイン

オーラルフレイルは、毎日の食事や会話のなかの小さな変化として現れるとされています。ご本人はもちろん、ご家族も次のような様子がないか、気にかけてみてください。

  • 食べこぼしが増えた:食事のときに、口からこぼれることが多くなった。
  • わずかにむせることがある:お茶や汁物などで、ときどきむせるようになった。
  • 滑舌が悪くなってきた:話すときに、言葉がはっきりしにくくなった。
  • かたい物を避けるようになった:たくあんやせんべいなどを、自然と選ばなくなった。

当てはまるものがあっても、すぐに深刻というわけではありません。ただ、気になる状態が続くときは、かかりつけの歯科などで一度相談しておくと安心です。

毎日のケア

毎日のケアは、大きく2つに分けて考えると整理しやすいとされています。口の中を清潔に保つ「清掃のケア」と、かむ・飲み込む・話す働きを保つ「機能のケア」です。

ケアの種類内容(例)
清掃のケア(器質的ケア)歯みがき・歯間の清掃・入れ歯(義歯)の手入れ
機能のケア(機能的ケア)口や舌の体操・唾液腺のマッサージ
毎日の習慣よくかんで食べる・人との会話を楽しむ

体操やマッサージのやり方は、歯科医院や自治体の介護予防教室などで、自分に合った方法を教えてもらえます。

特別な道具は必要ありません。よくかんで食べること、会話を楽しむことそのものが、口の働きを保つトレーニングになるとされています。毎日の暮らしの中で、無理なく続けられることから始めてみましょう。

入れ歯の不具合や口の痛みは、がまんしないで
合わない入れ歯や口の痛みをそのままにすると、食事の量が減って栄養にも影響しやすいとされています。入れ歯を自分で削るなどの調整はせず、早めにかかりつけの歯科に相談しましょう。

歯科の活用

かかりつけの歯科医をもち、症状がなくても定期的にチェックを受けることが、口の健康を保つ基本とされています。むし歯や歯周病の治療だけでなく、入れ歯の調整や、かむ力・飲み込みの相談もできます。「80歳で自分の歯を20本保とう」という8020(ハチマルニイマル)運動が知られているように、自分の歯を保つことは、長く食べる楽しみを支えると考えられています。

通院が難しくなってきたときは、歯科医師や歯科衛生士が自宅を訪ねる訪問歯科診療という選択肢もあります。対応する歯科医院や費用のしくみは地域によって異なるため、詳しくはお住まいの歯科医師会や自治体の窓口にご確認ください。かかりつけ医と在宅医療在宅介護の始め方もあわせて知っておくと安心です。

まとめ

口のささいな衰えは、低栄養や心身の衰えの入り口になりうる一方、早めに気づいて対応しやすいサインでもあるとされています。食べこぼしやむせ、滑舌の変化に気づいたら放置しない。歯みがきや入れ歯の手入れに、口の体操などの機能のケアを組み合わせる。そしてかかりつけ歯科医の定期チェックを活用する——この積み重ねが、食べる楽しみと元気を長く保つ力になります。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット(歯・口腔の健康)。気になる症状はかかりつけの歯科・医療機関にご相談ください。

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