この記事でわかること
  • 低栄養は気づかぬうちに進みやすく、筋力や元気が落ちる原因になること
  • たんぱく質をしっかり、いろいろな食品を少しずつとる食事のポイント
  • 口の健康を保つコツと、食欲が落ちたときの工夫・相談先

低栄養とは

「低栄養」とは、体に必要なエネルギーやたんぱく質が不足した状態のことをいいます。食べる量が十分でなかったり、食事の内容がかたよったりすると、知らないうちに陥ってしまうことがあります。

高齢になると、食が細くなったり、あっさりした食事に偏りがちになったりして、気づかぬうちに低栄養になりやすいとされています。「年だから少なめで」と食事を控えるうちに、必要な栄養が足りなくなることもあります。低栄養が続くと筋力や体力、元気が落ちやすくなるため、年のせいと片づけず、食事の様子に目を向けることが大切です。

気づきたいサイン

低栄養は、いくつかの小さな変化として現れます。次のようなことに心当たりがあれば、栄養が足りていないサインかもしれません。

  • 体重が知らないうちに減ってきた:食が細くなり、いつのまにか減っている。
  • 疲れやすく、力が入らない:以前より動くのがおっくうに感じる。
  • 風邪が治りにくい・傷の治りが遅い:体力や回復する力が落ちている。
  • 服がゆるくなった:ベルトや指輪、衣服のサイズが合わなくなる。

こうした変化は、体調そのものの変化と重なることもあります。気になるときは健康診断・人間ドックで体重や体の変化を確認したり、かかりつけの医療機関に相談したりして、一度たしかめておくと安心です。

食事のポイント

低栄養を防ぐ食事は、特別なものではありません。3食を欠かさず、たんぱく質といろいろな食品を意識することが基本です。次のような点を、無理のない範囲で心がけてみましょう。

  • 1日3食を欠かさない:抜いた分を取り戻すのは難しいため、まずは食べる回数を保つ。
  • たんぱく質を意識する:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを、毎食少しずつ。
  • いろいろな食品を少しずつ:主食だけ・あっさりだけに偏らず、おかずも組み合わせる。
  • 間食や汁物も活用する:たくさん食べられないときは、間食や具だくさんの汁物でも栄養を補える。

たんぱく質は、身近な食品から手軽にとることができます。下の表を、毎日の献立を考えるときの目安にしてみてください。

食品手軽なとり方(例)
ゆで卵・卵焼き・汁物に落とす
肉・魚焼く・煮る・缶詰(さば・ツナ)を使う
大豆製品豆腐・納豆・味噌汁の具に
乳製品牛乳・ヨーグルト・チーズを一品添える

量や組み合わせは体調や好みに合わせて。食事制限のある方は主治医・管理栄養士の指示を優先してください。

持病で食事制限がある方はご注意ください
腎臓病などでたんぱく質や塩分の制限を受けている方は、必ず主治医・管理栄養士の指示に従ってください。このページの一般的な内容よりも、医療機関からの個別の指示が優先されます。判断に迷うときは、自己判断せず相談しましょう。

口の健康

見落とされがちなのが、口・歯・飲み込む力の衰えです。これは「オーラルフレイル」と呼ばれ、低栄養につながりやすいと考えられています。

  • かたい物が食べにくくなった
  • 食事や飲み物でよくむせるようになった
  • 滑舌が悪くなってきた

口の働きが弱まると、食べられるものが減って栄養がかたよりがちです。よく噛んで食べる・口を動かす習慣を意識し、歯科の定期受診や義歯(入れ歯)の手入れで、口の健康を保ちましょう。口の衰えと栄養は深くつながっているため、早めの対応が大切です。

食べられないときの工夫

体調や気分で、どうしても食欲がわかないこともあります。そんなときは「少しでも栄養がとれること」を目安に、無理のない工夫から試してみましょう。

  • 少量で栄養のとれるものを選ぶ:卵・乳製品・豆腐など、量が少なくても栄養になるもの。
  • 好きな物・彩りのある物を取り入れる:見た目や好みで食欲が出やすくなる。
  • 一緒に食べる:家族や身近な人と食卓を囲むと、進みやすくなることがある。
  • 食べやすい形にする:やわらかく煮る、刻むなど、噛む力・飲み込む力に合わせる。
  • 市販の栄養補助食品も選択肢に:ゼリーや飲料タイプなど、手軽に栄養を補える。

食べられない日が続くときも、無理強いはしないことが大切です。食事の量が長く戻らない、体重が減っていくといったときは、かかりつけ医や薬局・管理栄養士、地域包括支援センターに相談してみましょう。在宅で食事の支えが必要になってきたと感じたら、在宅介護の始め方かかりつけ医と在宅医療もあわせて知っておくと安心です。

まとめ

低栄養は、気づかぬうちに進んで筋力や元気を奪ってしまうことがあります。体重の減少や疲れやすさなどのサインに早めに気づき、3食を欠かさずたんぱく質といろいろな食品を意識する。口の健康を保ち、食欲が落ちたときは無理のない工夫で栄養を補う。そして気になるときは、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談する——この積み重ねが、年を重ねても元気に過ごす力になります。

参考:厚生労働省、お住まいの自治体(地域包括支援センター)。食事制限のある持病をお持ちの方は主治医・管理栄養士の指示を優先してください。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。

毎日の食事が、元気のもとになりますように。その毎日を、あんしんくらしがそっとお手伝いします。