- ダブルケアとは何か、なぜ増えているのか
- 時間・お金・心身に起きやすい負担と、その軽くし方
- 介護と子育ての両面で使える制度と、相談できる窓口
ダブルケアとは
「ダブルケア」とは、親や家族の介護と、子どもの育児(子育て)を、同じ時期に同時に担う状態を指す言葉です。明確な法律上の定義があるわけではありませんが、内閣府が実態調査を行うなど、近年あらためて注目されている暮らしのテーマのひとつです。
背景にあるのは、晩婚化・晩産化といった社会の変化です。子どもを持つ年齢が以前より上がったことで、子育ての真っ最中に、親が介護を必要とする時期が重なりやすくなりました。30代・40代を中心に、働きながらこの状況に直面する人も少なくありません。
大切なのは、これが「特別な家庭」だけに起きることではないという点です。誰の暮らしにも起こりうる、ごく身近な出来事として捉えておくと、いざというときに落ち着いて備えやすくなります。
起きやすい負担——時間・お金・心身
ダブルケアの負担は、大きく次の3つの面であらわれやすいといわれます。どれも、ひとりで抱えこむほど重くなりがちです。
- 時間の負担:保育園の送り迎えと、親の通院や介護サービスの付き添いが重なる。自分のための時間が、ほとんど取れなくなる。
- お金の負担:教育費と介護費が同じ時期に重なり、家計の見通しが立てにくくなる。働く時間を減らすと、収入面の不安も加わる。
- 心身の負担:休む間もなく気を張り続け、疲れや気分の落ち込みがたまっていく。「自分が我慢すれば」と抱えこみやすい。
使える制度・サービス
介護と子育ては別々の制度ですが、それぞれに頼れる仕組みがあります。両方を上手に組み合わせることが、負担を軽くする近道です。
- 介護の側:介護が必要になったら、まず介護保険の要介護認定を申請します。認定を受けるとケアマネジャー(介護支援専門員)がつき、デイサービスやショートステイなどを組み合わせたケアプランを一緒に考えてくれます。窓口は地域包括支援センターです。
- 子育ての側:保育所・認定こども園のほか、地域の子育て支援拠点や一時預かりがあります。会員どうしで子どもの送迎や預かりを助け合うファミリー・サポート・センターを設けている自治体も多く、急な用事のときに頼れます。
- 仕事との両立:働きながらケアを担う場合は、介護休業・介護休暇や育児休業などの制度があります。短時間勤務や時間外労働の制限を利用できる場合もあるので、勤務先や公的窓口に確認してみましょう。
制度の対象や内容は、状況やお住まいの自治体によって異なります。利用にあたっては、最新の案内を各窓口でご確認ください。
どこに相談すればいい?
ダブルケアの相談は、介護と子育ての両方の窓口を知っておくことがポイントです。それぞれに事情を伝えておくと、連携してサポートを考えてもらいやすくなります。
- 地域包括支援センター:介護の総合相談窓口です。介護する家族の悩みも無料で相談でき、必要なサービスや手続きへとつないでくれます。「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の介護保険の窓口へ。
- 自治体の子育て支援窓口:保育の利用や一時預かり、子育て支援拠点などの相談ができます。市区町村の役所・役場の子育て担当課が入口です。
どちらの窓口にも「介護と子育てが重なっていて大変だ」と率直に伝えてみてください。両方の状況を共有しておくことで、行政の側でも全体を見ながら支援を調整しやすくなります。
抱えこまないコツ
ダブルケアを無理なく続けるために、心にとめておきたい3つのことです。
- レスパイト(休息)をためらわない:ショートステイや一時預かりは、ケアする人が休むための大切な仕組みです。休むことは怠けではなく、続けるための備えです。
- 役割を分け、見える化する:家族や親族で「誰が・何を・いつ」担うかを話し合い、書き出して共有しましょう。ひとりに偏らないだけで、負担はぐっと軽くなります。
- 早めに頼る:限界まで我慢してからではなく、余力があるうちに窓口や専門職に相談を。頼る先を先に決めておくと、いざというとき動きやすくなります。
まとめ
介護と子育てが重なるダブルケアは、晩婚・晩産化を背景に、誰にでも起こりうる身近な状況です。負担は時間・お金・心身の面であらわれやすく、見えにくいぶん抱えこみがちです。介護保険やケアマネジャー、保育やファミリー・サポート、休業制度など、両面の支援を組み合わせ、地域包括支援センターと自治体の子育て窓口の両方に早めに相談しておきましょう。
重なってしまっても、ひとりで抱えこむ必要はありません。あんしんくらしは、ケアするあなたの暮らしにも、そっと寄り添います。
参考:内閣府(ダブルケアに関する実態調査)、厚生労働省(介護保険制度・育児・介護休業の各案内)、お住まいの自治体(地域包括支援センター/子育て支援窓口)。制度の内容や受付は変わることがあるため、最新の情報は各窓口でご確認ください。