- 介護する人にあらわれる心身の不調のサイン
- ショートステイや制度で負担を減らす具体的な方法
- ひとりで抱え込まないための相談先
介護する人の多くが、不調を抱えている
厚生労働省の調査では、家族を在宅で介護する「同居の主な介護者」の6割を超える人が、日常生活で悩みやストレスを抱えていると報告されています。睡眠不足、慢性的な疲れ、気分の落ち込み——介護による負担は、目に見えにくいかたちで、確実に積み重なっていきます。
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の悩みやストレスの状況)。2022(令和4)年 概況
そして、その負担が限界を超えたとき、最悪の場合、「介護殺人」と呼ばれる痛ましい事件につながってしまうことも、現実にあります。NHKが過去5年間に起きたこうした事件46件を分析したところ、介護をしていた加害者の7割超(71.7%)が、自身も心身に不調を抱えていた一方で、事件の前に家族や介護関係者に相談できていた人は3人に1人(30.4%)にとどまっていました。これは「特別な人」に起きることではありません。まじめに、一生懸命に介護をする人ほど、ひとりで抱え込みやすいのです。
出典:NHK「“介護殺人”加害者7割超が心身不調も相談は3人に1人 NHK分析」(2026年6月18日)。判決文などから経緯を確認できた46件の分析による。
こんなサインに気づいたら
次のような状態が続いているときは、心と体が「休みたい」と訴えているサインかもしれません。
- よく眠れない、寝ても疲れがとれない
- 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
- 気分が沈む、何をしても楽しめない
- 介護相手に強いいら立ちを感じてしまう
- 「自分さえいなければ」と考えることがある
ひとつでも当てはまるなら、無理をしすぎているサインです。早めに、下記のような形で負担を軽くしましょう。
負担を減らす具体的な方法
- ショートステイで休息をとる:短期間、施設に宿泊してもらう間に、介護する側がしっかり休む。「レスパイト(休息)」は、続けるために欠かせない仕組みです。
- ケアマネジャーに「つらい」と伝える:ケアプランは見直せます。デイサービスの回数を増やすなど、家族の負担を踏まえた調整を遠慮なく相談しましょう。
- 同じ立場の人とつながる:「介護者の会」など、同じ経験を持つ人と話せる場があります。気持ちを分かち合えるだけで、心は軽くなります。
- 介護離職の前に、制度を知る:介護休業・介護休暇など、仕事と介護を両立するための制度があります。辞める前に、まず使える制度を確認しましょう。
つらいときの相談先
ひとりで抱えず、まずは話してみてください。相談は無料のものが多く、秘密は守られます。
- 地域包括支援センター:介護の総合相談窓口で、介護する家族の悩みも無料で相談できます。「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の介護保険の窓口にお問い合わせください。
- 認知症の人と家族の会(電話相談):同じ立場の家族や経験者が話を聞いてくれる全国の窓口です。認知症の介護を中心に、介護のグチや不安も話せます。フリーダイヤル 0120-294-456(月〜金 10:00〜15:00、祝日を除く)。
- こころの相談窓口:気持ちが追い詰められているときは、ひとりで抱えず専門の窓口へ。話すだけでも、楽になることがあります。
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(厚生労働省。電話をかけた地域の公的な相談窓口につながります)
- よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・通話無料)
- いのちの電話 ナビダイヤル 0570-783-556(毎日 10:00〜22:00)/フリーダイヤル 0120-783-556(毎日 16:00〜21:00、毎月10日は 8:00〜翌8:00)
まとめ
介護する人が倒れてしまっては、介護そのものが続きません。休むこと、頼ること、相談すること——それはわがままではなく、介護を続けるための大切な備えです。サインに気づいたら、早めに手を借りてください。
あなたひとりの問題ではありません。あんしんくらしは、介護するあなたの側にも寄り添います。