この記事でわかること
  • 聞き返しの増加やテレビの音量など、加齢による聞こえにくさのサイン
  • 機器を買う前に、まず耳鼻咽喉科で相談したほうがよいとされる理由
  • 補聴器と集音器の違い、費用の公的支援、家族の話し方の工夫

加齢と聞こえ

年齢を重ねると聞こえにくくなる「加齢性難聴」は、誰にでも起こりうるとされています。多くはゆっくり進むため本人は気づきにくく、「聞き返しが増えた」「テレビの音量が大きいと家族に言われる」「体温計などの電子音に気づかない」といった変化が、周りから見たサインになることがあります。

注意したいのは、聞こえにくさをそのままにしておくことです。会話や外出がおっくうになり、社会的な孤立や、認知症のリスクとの関連も指摘されているとして、厚生労働省も「聞こえにくさ」への早めの対応を呼びかけています。人との交流が減ることは、心身の活力が落ちるフレイル認知症の備えの面からも見過ごせないと考えられています。

まず耳鼻咽喉科へ

「聞こえにくいかも」と思ったら、機器を自己判断で買う前に、まず耳鼻咽喉科を受診するのが基本とされています。耳あかのつまりや中耳の病気など、治療によって聞こえが改善する難聴もあるとされているためです。診察と聴力の検査で原因と聞こえの程度を確かめたうえで、補聴器が合いそうかどうかを医師と相談する、という順番が安心です。

「とりあえず通販で」の前に、ひと呼吸
手軽に買える機器もありますが、聞こえの状態に合っていないと役立ちにくいことがあるとされています。補聴器を検討するときは、補聴器に詳しい医師(補聴器相談医など)に相談してから選ぶと安心です。

補聴器の基礎知識

補聴器は、薬機法(医薬品医療機器等法)上の「管理医療機器」として、効果や安全性の基準が定められた機器です。買ってすぐ快適に聞こえるものではなく、購入後も調整(フィッティング)を重ねながら、少しずつ慣らしていくものとされています。よく似た名前の「集音器」は、医療機器ではない別のものです。

機器位置づけ
補聴器薬機法上の管理医療機器。聞こえに合わせた調整を重ねて使う
集音器音を大きくする機器で、医療機器ではない(効果・安全性の基準の対象外)

名前は似ていても位置づけは異なります。選び方に迷うときは医師や専門家に相談を。

購入するときは、認定補聴器技能者などの専門家がいる販売店で、試聴や調整を重ねながら相談するとよいとされています。価格や機能はさまざまなので、その場で決めず、納得できるまで確かめてから選びましょう。

費用の公的支援

聴覚障害により身体障害者手帳の認定を受けた場合は、障害者総合支援法の補装具費支給制度により、補聴器の費用の一部支給の対象になるとされています。手帳の対象とならない場合も、自治体が独自の助成を設けていることがあります。

制度の対象になるかどうかや手続きの流れは、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口で確認できます。手帳や福祉サービスの基本は障害があるときの支援で整理していますので、あわせてご覧ください。

家族の関わり方

聞こえにくさは、まわりが思う以上に本人がもどかしさを感じているものとされています。家族のちょっとした話し方の工夫で、会話はぐっと楽になることがあります。

  • 正面から、顔を見て話す:口の動きや表情が見えると伝わりやすい。
  • ゆっくり・はっきり、区切って話す:大きな声で怒鳴るより、話し方の工夫が助けになる。
  • 静かな場所で話す:テレビを消すなど、まわりの音を減らす。
  • 本人のペースを尊重する:補聴器も慣れるまで時間がかかるもの。無理強いはしない。

まとめ

聞こえにくさは誰にでも起こりうる変化ですが、そのままにすると会話や外出が減り、孤立などにつながりかねないと指摘されています。サインに気づいたら、まず耳鼻咽喉科で原因と聞こえの程度を確認する。補聴器は専門家に相談しながら調整を重ねて慣らし、費用は補装具費支給制度や自治体の助成を確認する。そして家族はゆっくり・正面から話す——この順番を知っておくだけで、安心して一歩を踏み出せます。

参考:厚生労働省(「聞こえにくさ」の啓発・補装具費支給制度)。気になるときは耳鼻咽喉科にご相談ください。

聞こえの安心は、会話と外出の楽しみにつながります。その一歩を、あんしんくらしがそっとお手伝いします。